ハセガワ 1/700 赤城(真珠湾攻撃時)

限られたスペースの上に飛行場という施設を丸ごと載せてしまうという、何と思い切ったことをするのだろうと思います。 航空母艦が実用化されるまでの試行錯誤の物語は、戦艦の発達史とはまた別の面白さがあります。
赤城が作られた時代はまだ空母という艦種をどのように運用するのか、全くの手探り状態であったため、新造時から最終時までの間に大きくスタイルが変化しています。

格納庫下にちらりと見える木甲板は、もともと巡洋戦艦として建造された船体であることを思わせてくれま
す。(最近では、この部分は木甲板ではなくリノリウムであるという説が有力のようです。)
不思議なのは錨甲板にある予備錨で、日露時代の艦には普通に装備されていますが、この時代の船には珍しいのではないかと思います。
なぜ赤城と加賀だけに予備錨が装備されたのか、未だその答えに出合ったことがありません。
両舷の12cm連装高角砲も赤城ならではの特徴です。 本当ならば12.7cm連装高角砲に取り替えられるはずだったと思うのですが、機会を逸してそのままになってしまったようです。
 前期の日本空母は、このような下向きの湾曲煙突
 を採用しています。
 着艦時に煙が邪魔にならないように、排煙に海水
 シャワーを混ぜて排出するという工夫がされていま
 す。
 艦尾では20cm砲がさりげなく威圧感を放っていま
 す。重巡洋艦の主砲と同じ破壊力を持っているな
 んて、いったいどのような局面を想定していたので
 しょうか?
 20cm砲の衝撃というのは案外バカにできないもの
 で、この砲を撃つと飛行甲板がめくれあがって発着
 艦ができなくなってしまうらしく、おいそれと撃つこと
 は出来なかったという話です。
 でも重巡と空母が砲撃戦をする場面なんて、
 とても見てみたいです。
 隠顕式探照灯の蓋形状も赤城だけが観音開きに
 なっています。
 この蓋もかなりの大きさだと思うのですが、人力で
 持ち上げて開いていたのでしょうか?
 以後の空母ではスライド式になっているということ
 は、おそらく使い勝手が悪かったのだと思います。
艦載機を搬入するための設備や探照灯昇降機などが詰まっている魅力的な艦尾です。せっかく作ったのに陰になってほとんど見えません。('A`)
飛行甲板の後部は三段空母時代の名残で二重になっています。実用的には全くの無駄ですが模型的には面白いものです。 本来は一段式に改装の際、旧甲板を全て取り払って作り直したかったようですが、予算の都合で鉄甲板を旧甲板上に乗せるだけに止めたようです。 キットでは再現されていませんので、下に旧甲板を追加して擬似的に再現してみました。
赤城の飛行甲板は後ろに行くほど下がっていて、横から見た場合極端に言えば「へ」の字のようになっています。 これも着艦しやすいように、良かれと思ってしたことなのでしょうが逆に着艦しづらくなり、パイロットから不評だったそうです。

赤城は一見普通っぽい空母形に見えますが、見れば見るほど個性的で味のある艦だと思います。

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